昔、アインシュタインの相対性理論を分かりやすく解説したサイトはないかと思い、探すと、『アインシュタインの相対性理論』というサイトに出会いました。このサイトは大変な長文なのですが、相対性理論の世界を文系にも納得させるすばらしい説明が書かれていました。
相対性理論を分かりやすく書いたサイトは多数ありますが、どこか中途半端なんですよ。けど、このサイトは結構深く記述しています。ただし、ちょっと長いので大事な所だけこのブログにも掲載してみました。それでも長くなってますが、我慢して読んでみてください。感動しますよ。
以下、掲載文(一部修正)
特殊相対性理論の大事な2本柱
アインシュタインの相対性理論には、「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」とがあります。
まずは、特殊相対性理論について説明しましょう。
特殊相対性理論には、2つの大きな柱があります。
1つ目は、「特殊相対性原理」
2つ目は、「光速度不変の原理」です。
特殊相対性原理とは
「どのような速さで動いても、自然の法則は同じように成り立つ」
と言う法則です。
もう1つの光速度不変の原理とは、
「どのような速さで動いても、光速は変わらない」
と言う法則です。
ここで言う「自然の法則」とは、物の落下を含め、ありとあらゆる法則です。
化学反応や核反応を起こしたり、物を燃やしたり、電気を流したり、力を加えたりした時起こる現象は、それが動いていても止まっていても全く同じだ、と言っているわけです。
光速度不変の原理、とは?
特殊相対性理論に置ける2本柱2本目。光速度不変の原理。
これは、「誰にとっても、光の速さは同じ」と言うものです。
光の速さは、秒速29万9792.458kmとされています(cと表記される)。
つまり、おそよ秒速30万kmです(真空中の場合)。
この速さは、どのような人にとっても変わらない、と言いたいのです。
アインシュタインのすごいところは、「誰から見ても光の速度は変わらない」と気付いた点です。
その当時、光のこの特殊な性質がまだ知られていなかった頃、多くの科学者が光の速さに変化を見つけようとしました。
もしも光の速さが有限ならば、観測者によって光の相対速度は変わるはずです。
しかし、どんなに詳しく調べても、その相対速度に変化は見られませんでした。
そして、これは大変だ、と言うことになり、アインシュタインも光速で走ったら光はどう見えるか、と言うことに頭を悩ませました。
するとついに、アインシュタインは悩んだ末に、ある結論にたどり着きました。
すなわち、
「どんなに詳しく調べても光の速度に変化が無いのならば、いっその事どんな場合でも光の速さは変わらないと言うことを認めてしまえ!」
と言う結論です。
聞いてしまえば、大してすごい結論に思えませんが、当時の人々にとってはとてつもなく大きな衝撃でした。
そして、アインシュタインは、
「もしも光の速度が絶対ならば(誰にとっても秒速30万kmならば)、果たしてどのようなことが起こるのか?」
と言うことを突き詰めて考えていきました。
これが、「相対性理論」なのです。
ちなみに、この「光速度不変の原理」と言うのは、証明された訳ではなく、観測に基づいてはじき出したデータ。
そのため、これからもっと研究が進んでいったら、「光速度不変の原理は間違いだった」と言う事になるかも知れません。
そしたら、この「相対性理論」は、根底から崩れ去る事になります。
人は未来へ行ける
では次に、「光の速度が絶対ならば、一体どのようなことが起こるのか?」アインシュタインの出した結論を見て見ましょう。
単刀直入に言うと、光の速度が絶対なら、物体は未来へ行くことが出来ます。
もちろん、人も、です。そして、移動している人の時間は、止まっている人の時間より長くなります。
そう言われても、ちょっと信頼できません。
が、実はちゃんとした証拠があるのです。
「ミューオン」と言う物体が存在します。
これは、素粒子と言う物質で、全ての物を作っている「原子」を、作っている物です。
まぁ、平たく言えば物を作ってる小さな粒です(詳しくは、中学で習います)。
このミューオン。とてももろい物体で、すぐに壊れ、電子とニュートリノと言う物質に変わってしまいます。
その時間、わずか0.000002秒。
ところが、ものすごいスピードでミューオンを飛ばすと、この時間が長くなるのです。
これは、速く運動しているときには時間が遅くなる、と言う証拠です。
他にも、様々な証拠があります。
1971年に、物理学者ジョー・ハーフェルと、リチャード・キーティングがある実験を行いました。
その実験内容は、原子時計(原子の振動により、時間を刻む時計。ものすごく正確)を2つ用意し、片方は地上、もう片方は飛行機に積みます。
そして、その飛行機はそのまま、世界一周旅行をしたのです。
ではその時、時計はどうなったか?
なんと、飛行機内の時計の方が、地上の時計よりも若干、遅れていたのです。
その遅れはわずか0.000000059秒(10億分の59秒)でしたが、この値はアインシュタインの理論が予測した大きさとピッタリ一致。
こうして、「未来に行ける」ことが証明されたのです。
『重さ』とは何ぞや?
では、ここで特殊相対性理論の説明は一旦終え、一般相対性理論の説明に入りましょう。
その前に、一般相対性理論にとって重要な、『重さ』について説明しましょう。
『重さ』と言うと、体重や、物の量(グラム)を考えてしまいますが、この場合は違います。
例えば、エレベーターで上がり始めた瞬間は、体が重くなるような感じがすると思います。
他にも、車や電車が急に加速する時、ググッと後ろに押し付けられるような感じ(後ろによろける様な感じ)もします。
そして、スペースシャトルの打ち上げ時などに、よく「G(ジー)がかかる」と言う表現を聞くと思います。
これは、重力の単位で、「Gがかかる」と言うのはつまり、重力が強くなる(ように感じる)=体が重くなったように感じる、と言う意味になるのです。
では、こんな場合はどうでしょうか?
例えば、あなたが真っ暗闇の箱の中に閉じ込められているとします。
そこがもし地上ならば、重力を感じる事が出来るはずです。
では、仮に、箱の周りが宇宙空間で、箱は単に加速しているだけだった場合、あなたはどう感じるでしょうか?
おそらく、全ての人が、移動方向と反対方向に重力を感じているはずです。
ではこの時、この2つの重力を区別する事は出来るでしょうか?
結論から言うと、出来ません。
何故ならば、どちらの場合も、人間が体に感じる重さは全く同じだからです。この2つの「重さ」。
感覚的には全く同じ物ですが、正確には(物理学的には?)、全く違う物です。
ところがアインシュタインは、
「実際に区別が出来ないんだから、いっその事同じ物って事にしちゃえ!」
と言う考え方を示したのです。
「光速度不変の原理」と同じく、この考え方は、当時の人々に衝撃を与えました。
ちなみに、何故加速すると「重さ」を感じるかと言うと、これは「慣性(かんせい)の法則」と言う法則で説明する事が出来ます。
「慣性の法則」とは、
「止まっている物体や、同じ速さで動いている物体には、そのままでいたがる性質がある」
と言う法則です(この性質の事を「慣性」と言います)。
つまり、その場でピタッと止まっている物体は、周りから触られない限り、ずっと止まっているし、
ずっと転がっているボールは、誰も止めようとしなければ、永遠に転がり続ける、と言う事です
(実際にボールを転がしているといつか止まりますが、あれは地面との間に「摩擦(まさつ)」と言う力が生じるからです)。
そして、止まっている物体を動かそうとした場合、あるいは、ずっと動いている物体を止めようとした場合、この「慣性」に逆らう事になります。
その時の「抵抗」…つまり、外から突然加えられた力に対し、
「動くもんか、こんチクショウ!」「止まるもんか、この野郎!」
と物体が働くため、それが「重さ」として感じられるのです。
ですので、先ほども述べたように、地球のいわゆる「重力」と、加速による「重さ」は、まるで別物なわけです。
で、結局、一般相対性理論で言う「重さ」とは、この「重力による重さ」と「加速による重さ」の2つの事なのです。
一般相対性理論の大事な2本柱
さて、「特殊相対性理論」には、「大事な2本柱」と称した、2大原則がありました
これは、「一般相対性理論」にも言える事で、一般相対性理論には、また別な2本柱が存在します。
1つ目が、「一般相対性原理」。
2つ目が、「等価原理」です。
一般相対性原理とは、「誰に対しても自然の法則は同じように成り立つ」と言う原理です。
ここで言う「誰に対しても…成り立つ」と言うのは、
「動いている人だろうが、止まっている人だろうが、加速している人だろうが、減速している人だろうが、何をしている人だろうが」
誰がいついかなる状況で自然の法則を試したところで、全く同じ結果が出る、という意味です。
例えば、地球上に立っている人が、9.8mの高さからボールを落とした場合、ボールは1秒後に地面に落ちます。
そして、地球上を高速で移動している人が、9.8mの高さからボールを落とした場合も、ボールは1秒後に地面に落ちます。
これは、その人が加速していようが減速していようが、(一般的な地球上の環境である限り)自然の法則は変わらない、と言うことです。
これが、「一般相対性原理」です。
2つ目の「等価原理」と言うのは、上で述べた事そのまんまです。
すなわち、
「重力によって感じる『重さ』と、加速によって感じる『重さ』は同じ物である」
と言うことです。
詳しくは、上を読んでいただければ十分です。
この2つの柱を打ち立てたことで、加速や重力にまで関わる事が出来なかった「相対性理論」は、
晴れて「一般相対性理論」として、加速や重力にまで関わって、今までよりも更に広い視野を持てるようになったのです。
重い物の周りでは、空間が歪む!
一般相対性理論では、特殊相対性理論では考慮できなかった「重力」の問題も、考慮する事が出来ます。
では、重力があると果たして何がどう変わるのか?
例を挙げて説明しましょう。
ここに、巨大なトランポリンが1個、あると思ってください。
そして、このトランポリンは、この世界の「空間」だと思ってください。
その上に、1人、人が乗りました。
トランポリンは、わずかにゆがみます。が、それほどではありません。
次に、このトランポリンの上に、100人が乗りました。
すると、トランポリンは、1人の時よりもよりゆがみます。
そして、この100人が、ギュウギュウに押し合い、中心に集まり、100人揃ってコマのようになると、どうなるでしょうか?
100人全ての重さが1点に集中し、トランポリンは激しくゆがみます。
ついには、ゆがみ過ぎて真ん中が一気に破け、100人は地面へと叩きつけられます。
空間は、このトランポリンに似ていて、質量の大きい物(=重い物)があると、その周りがグニャッとゆがむのです。
空間がゆがむと、何が起こるのか?
単刀直入に結論から述べますと、特殊相対性理論同様、「時間が伸びる」=「未来へ行ける」と言う事です。
詳しくは、これからゆっくり話しましょう。
まずは、空間のゆがみからです。
「3次元のゆがみ」を考えることは、かなり難しいことですから、とりあえず、「2次元のゆがみ」を考えて見ましょう。
2次元とは、早い話が紙の上。平らな平面の上の事です。
3次元の世界では、「上下、左右、前後」と3つの軸がありますが、
2次元の世界では、「上下、左右」「上下、前後」「前後、左右」のように、2つの軸しかありません。
一番考えるのが楽な、「前後、左右」で考えてみましょう。
まずこの前後左右しかない2次元の世界に、直線を引いてみてください。
引ける直線は、真っ直ぐないわゆる「線」。何の変哲もありません。
問題は、空間がゆがんだ時です。
「ゆがんだ空間での直線」と言うのは、傍目には「曲線」に見えます。
が、見えるだけで、曲線ではないのです。
そもそも、「直線」の定義は、
「2点間を結ぶ、最短距離」
です(正確には、これは「線分」の定義なのですが、ここではわかりやすいように、「線分」を「直線」と言っています)。
わかりやすく言うと、
「家から駅までの最短ルート」
が直線なのです。
間にある家や人を全てなぎ倒し、真っ直ぐ歩き続ける。これが、最短ルートであり、「直線」なのです。
では、ゆがんだ空間ではどうなるでしょうか?
ゆがんだ空間では、そもそも空間自体がゆがんでますから、直線の定義はそのままでも、形は変わってきてしまいます。
言葉では説明しにくいので、紙とペンを用意してください。
紙に、適当な直線を引いてください。 そして、その紙をグシャッとゆがめます。
その時そこにある線が、「ゆがんだ空間での直線」になるのです。
見る角度によっては、それは明らかに「曲線」ですが、その「紙上」と言う「空間」の中では、それは立派な「直線」なのです。
が、空間自体がゆがんでいるとは言え、本来ならば最短距離である「直線」が、「曲線」に変わるわけですから、2点間の長さは、長くなってしまいます。
さて、ここで、だいぶ上の方でやった光速度不変の原理が再登場します。
光の速さは、秒速30万km。これは、何があろうと、真空中である以上、絶対に光は秒速30万kmで進みます。
これは、空間がゆがめられても同じ事。
そして、2点間の距離は、ゆがんでいない時よりも伸びているので、
光が2点間を移動する時間は、空間がゆがんでいない時に比べ、ゆがんでいる時の方が、やや長くなるのです。
光が2点間を移動する時間が長くなると、どうなってしまうのでしょうか?
実は、「光の速度が絶対ならば、何が起こるのか?」と全く同じ事が起こります。
つまり、空間のゆがみが激しいところの方が、同じ2点間を移動する時間が長くなるので、その分、時間が遅くなるのです。
この事は、こんな実験で実証されています。
いくつかの実験で実証されていますが、ここでは2つ、挙げましょう。
まず、地球から金星に向けてレーダーを発し、反射してきたレーダーを捕らえる、と言う実験。
この時、地球と金星の間に、太陽がある事が条件です(つまり、地球から見て、金星が、太陽の向こう側にギリギリ顔を出している事が条件)。
もし、重い物の周りでも空間がゆがまず、光の移動距離が変わらないのならば、
地球から出たレーダー(電波)は、真っ直ぐ金星に進み、また真っ直ぐ戻ってくるはずです。
光の速さと、金星‐地球間の距離はわかっていますから、レーダーが戻って来るまでの時間は、計算で求める事が出来ます。
ところが、実際にやってみると、計算結果よりも長い時間かかって、レーダーは戻ってきます。
これはつまり、重い物=太陽によって、空間がゆがめられている事の証明につながるのです。
しかも、その遅れる時間は、一般相対性理論の計算どおりなのです。
もちろん、レーザーが戻って来るのが遅れた理由が他にある可能性もありますが、少なくとも、一般相対性理論の否定は出来ない、と言う事です。
もう1つの実験は、地球上で行われた実験。
1959年にハーバード大学で行われた実験で、
高さ22.5メートルの塔の一番上と、一番下で、ものすごく厳密な時間測定を行いました。
その結果、ものすごく短い時間ではありますが、わずかに、塔の頂上の方が、時間が早く進んだのです。
そして、もちろんその結果は、一般相対性理論の計算どおりでした。
また、この時、「時間が早く進んだ」と言う事は、
「塔の頂上にいた人は、ほんのわずかながら、地上の人よりも早く時を進む事が出来た」
つまり、「未来に行けた」と言う事が出来るのです。
ちなみにこの「未来に行き具合」は、もうわかると思いますが、重い物の近くほど早く未来に行けて、離れれば離れるほど遅くなります。
重力で光が曲がる証拠!
さて、直前まで空間が曲がると光が曲がる=重力で光が曲がる、と言う話をしてきました。
理論的には曲がるようでも、実際のところ、本当に曲がるのでしょうか?
わたし達の普段の生活では、目で見てわかるほど光を曲げるような重い物には、あまり接しません。
しかし、宇宙ならごまんとあります。
そして、実際に「光が曲がっている!」と確認できた事例もあります。
アインシュタインが一般相対性理論を発表したのは、1915年。
その直後の1919年にちょうど日食がありました。
太陽はかなりの質量があるので、その周りでは、わずかに空間がゆがんでいるはずです。
もし一般相対性理論が正しければ、太陽の向こう側にある星から来る光は、太陽の重力によってゆがめられ、
実際の星の位置とは違う位置に、星が見えるはずです。
普段は太陽が明るくて観測できませんが、日食の時なら、観測は可能です。
そして、実際に観測した結果、星の位置がわずかにずれている事がわかりました。
本当にあるべき位置よりも、若干、太陽から遠い場所に、その星が観測できたのです。
この時、本当に一般相対性理論の計算通りに光がゆがんでいたので、世界中が大騒ぎになったそうです。
また、観測対象の天体Aと、地球との間に、ブラックホールがあると、
天体Aから発せられた光がブラックホールによりゆがめられ、ゆがんだ映像が地球に届く事があります。
さらに、光の進み方では、1つしかないはずの天体Aが、2つ観測される事もあるのです。
本来、真っ直ぐ進めば地球にやってくる事は無かった光が、途中のブラックホールによって、軌道を変えられてしまいます。
そのため、地球から見れば左右反対方向に飛んでいったはずの光が、レンズで曲げられたかのように途中で突然地球を目指し、結果として、地球で2つの天体Aが観測できるようになるのです。こう言ったいくつかの観測や実験で、重力で光が曲がると言う事が証明されました。
さらに詳しく読みたい人はこちらを参照してください。
最近発見されたアインシュタインの予言の「重力波」というものがこの相対性理論と関係しているそうです。
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